バレンタインに5つのお題
皮肉屋からのチョコケーキ
「じじい、これ、やる」
「ん、なんだ?チョコケーキ?…誰かからもらったのか?おまえは昔っから甘いもんが苦手だもんなあ」
「今日」に「チョコレート」を渡す意味も知らず、そういってカラカラと笑う笑顔が、心底憎らしい。
チョコアイスで誤魔化す
「ほれ、承太郎も、ついでに買ってやったぞ」
そういって差し出したチョコアイスを見て、承太郎はため息をついて見せた。
「…今日がどういう日か知ってんのか?」
「あ、なにがじゃ?」
「…もう良い」
呆れたように舌打ちしながらも、苦手であろう甘いものを受け取って口をつける様子に、思わず微笑みが漏れた。
他のメンバーに買ったのは「チョコアイス」じゃないって気づくのは。
一体いつじゃろうなあ?
ホットチョコレートの謎
「ほれ、飲めよ」
「?…これは何じゃ?」
「ホットチョコレート。酒も少し入ってるし、温まるぞ」
「ほほお…若者はしゃれたものの作り方を知っておるのお」
帰りに雨に降られてシャワーを浴びたばかりのじじいは、表面に浮かべられたとろけかけたマシュマロを指でつついている。
その様子はどこか子供のようで、可愛らしい。
俺は思わずにやけそうになるのを我慢しながら、心の中だけでつぶやいた。
(…てめえを喜ばせるためじゃなけりゃあ、こんなものの作り方覚えるかよ)
ビターチョコと甘党の君
知人にもらった最高級のチョコレートを口に含んだ途端、ジョセフは顔をしかめた。
どうも高級な分、砂糖やミルクで味をごまかしていないのか、甘味はかなり控えめだ。
カカオの味は確かに濃いが、砂糖と油一杯の欧米のチョコレートに慣れているジョセフには、どうにも物足りなく感じる。
「むうう…イマイチじゃなあ」
そうぼやいていると、同じ部屋でテレビを見ていた承太郎が「どれ?」と顔を寄せてきた。
そこでジョセフがチョコレートを一つつまんで、口に入れてやろうとすると、承太郎は「俺はこれで良い」と言って。
ジョセフの唇を自らのもので塞いできた。
「んんっ!」
ジョセフの唇と舌をねっとりと舐めあげた後、承太郎は口を放し、「十分、甘いじゃねえか」とぼやいた。
「もっとも、てめえの唇は何もつけないでも甘いけどな?」と意味深に笑ってのたまう承太郎に。
ジョセフは顔を赤らめて、机に置いてあった新聞を顔面に投げつけた。
妥協の末のカクテル
「…じじいのチョコレートソースがけ」
「アホ言うな」
「ホテルのスイートで、朝、目覚めのホットチョコレート」
「全力でお断りする」
「ハート型本命チョコ」
「無理」
「…ちっ、しゃあねえな。じゃあジェントルマンズショコラ(※チョコレートカクテル)で」
「むう、それくらいなら良いかの」
※承太郎にバレンタインに欲しいものを聞いたときの会話(笑)
2016.3.21(ピクシブより転載)
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